桑の実

 いつになく暦に忠実に梅雨入りとなり、男性的(?)な雨降りの日々を過ごしているものの、時折梅雨の晴れ間を賜って、町外れの裏道や山道を歩いていると、桜の実や桑の実が道端に落ちているのに出会う事があります。
今、曳山会館になってる所はその昔日本に2校しかない養蚕学校だった場所だそうで、その横の公衆トイレになってる所は一面桑畑だったの、これは、昭和40年に八尾人になった私も記憶にあります。
そんな訳で、チョッと古い八尾人だったら大概の人は桑の実の味を知ってるハズ。
 
 桑の実って梅雨の頃に生るからか、子供の頃食べたのを思い出します。
食べて舌を黒くしてるのに、母に見つかると「食べてない」って必死でウソついて・・・。おまけに白いブラウスのポケットに入れて紫に染まって、こっぴどく叱られたもの、苦くて切ない思い出。
その桑の実が、道端にころころと落ちて、おまけに車に轢かれてアスファルトに黒〜く染み付いてて。なんだか昔の頃が打ち捨てられているみたいで、ホロ苦い気持ちで通り過ぎてきました。

 「ゆうや〜けこやけ〜の赤トンボ・・・
    山の畑で桑の実を 小籠に摘んだは幻か」

今はこの歌そのものが幻なのかも?

 もう、グミの実も色付いてきました。
そう、そう、梅の実だってスーパーじゃなく、そこここの梅の木にびっしり実って梅雨の晴れ間を待ってる様。
ダメね〜、戦中っ子は生りものばかりが目に付いて、幾つになっても食い気が一番!


 「 遠き日の 桑の実甘く 蘇り 」
正子(2004.6.11)

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